はるちさんの備忘録

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【映画感想】「今夜、世界からこの恋が消えても」:忘れたくないという思い

作品概要

「今夜、世界からこの恋が消えても」
(日本/2時間1分)
劇場公開日: 2022.07.29
ジャンル: ドラマ
配給: 東宝

高校生の神谷透はクラスメイトに流されるまま、同級生の日野真織に嘘の告白をする。しかし彼女は「お互い本気で好きにならないこと」を条件にその告白を受け入れ、2人は付き合うことに。やがて真織は、自分が前向性健忘症で、夜に眠るとその日の出来事をすべて忘れてしまうことを透に打ち明ける。彼女は毎朝、前日の日記を読み返すことでどうにか記憶をつなぎ止めていた。透はそんな真織と1日限りの恋を積み重ねていくが……。


引用: 映画.com「今夜、世界からこの恋が消えても」紹介ページ

感想(※ネタバレ大いにあり)


まず、製作陣の豪華さよ。「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「坂道のアポロン」など、青春映画を多く手掛けている三木孝浩監督。「君の膵臓をたべたい」の月川翔さんと「明け方の若者たち」の松本花奈さんが脚本。音楽が「東京事変」のベーシストの亀田誠治さん。この布陣で面白くないわけがない。そんな期待感をもって、映画館へ足を運んだ。


さすが、安心と信頼の三木孝浩監督作品だった。今回は泣かせに来た。最初は、「君の膵臓をたべたい」と「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」を足して半分にしたような要素が所々にあったが、いやいやまさかそういう展開になるとは。伏線大アリで、思わず目を見開いてしまった。


主人公2人はお似合いのカップルで、2人だけの世界が確かに存在していた。そこに入る隙もなかったため、初見ではヒロインの親友「泉ちゃん」と同じ目線で観た。主人公から、ある秘密と「もし自分に何かあったら、自分を消してくれ」という思いを聞いた泉ちゃん。とあるシーンから、いつもは強気な泉ちゃんが苦しむ姿が描かれていた。家族以外で自分だけが知っている主人公の秘密。そりゃ苦しいよ。どうしたらいいか分からないもん。


一人では背負いきれなくて、泉ちゃんは主人公のお姉さんを頼ることになる。ヒロインの日記の書き換えをやっていくうちに、姉である自分が弟の存在を消そうとしていることに気づく。いくら弟からの思いとはいえ、これはつらい。この時点で、涙腺が崩壊しそうになった。


1日の記憶を留めておくことができないヒロイン。そんな彼女でも絵を描くという特技を持っていた。ここで登場したのは「手続き記憶」。自転車の乗り方や水泳など、一度しっかり覚えていればなかなか忘れることがない長期記憶の一つ。つまり「体が覚えている」状態である。久々に聞いた単語だったが、これが本作の重要なキーワードになろうとは。


花火のシーン、今まで観た中でトップクラスにキレイな場面だった。「本気で好きにならない」という約束をとっくに破っている主人公と、この瞬間だけは忘れたくないと願うヒロイン。2人の感情が重なり合った瞬間だった。この「忘れたくない」という思いが、後の記憶障害の改善につながったのだろうか。


タイトルの「今夜、世界からこの恋が消えても」は、2つの意味が込められていたんだな。初見では、2人の世界に入る隙もなかったが、2回目や3回目の時は、時系列の整理もしつつ、主人公2人の目線で観てみたい。